恋季節~春夏秋冬~
「ん? あ、一緒に帰ろって。
うわー 汗でベッタベタ…」
自分の着ていたシャツを脱いで独り言。
「マジで!?
じゃぁオレも春さんに会えんじゃん♪」
「あのなぁ…」
嬉しそうな彩人に俺は呆れ気味で
「春はもう彼氏いんの!
狙ってもムダ」
とキッパリ言う。
今年の春から春には彼氏が出来たんだ。
もうフリーじゃないっての。
「んだよ~
夢くらい見せろよ~」
口を尖らせて彩人がブツブツ言ってくる。
「ダメ」
「ちぇっ…」
ふてくされた顔をした彩人に
「じゃ、お先に」
と言い残して部室を出る。
「あ、コラ! 夏待て…」
叫んでいる彩人にはお構い無しで部室を後にする。
自転車をひいて正門まで走る。
「春!」
「…夏野」
「待った?」
と言う俺の問いに
「待って無いよ」
と笑って言う。
あー
こういうのが付き合ってる風に見えるのか?
ふと春の顔を見るとまつ毛が頬についている。
「春、まつ毛ついてる(笑)」
「えっ どこ??」
一生懸命落とそうとするが全く落ちない。
「はは! ここ…」
春のまつ毛を指ではらう。
「とれた?」
と聞いてくる春の顔をもう1度良く見る。
「うん、ついてな―…「夏先ぱ……」
ついてないと言おうとしたけど彩名の声が聞こえて振り返る―…