恋季節~春夏秋冬~
--最終夏--
【夏野*side】
「夏野、もう時間?」
玄関で靴を履いていると春に声をかけられる。
「おー」
「いってらっしゃい!
頑張ってねっ!」
オレはシスコンでは無いはずだけど、春の笑顔は可愛いと思う。
春の笑顔を見ると落ち着くんだ。
じゃぁ彩名は?
と言われれば彩名の顔を見たら落ち着くわけなんか無くて。
逆に心臓バクバクだろ。
彩名の前じゃ、俺余裕無いんだよなぁ…(汗)
「後でいくね!
10時30分からよね?」
「そ! いってきます!」
春に元気な声で挨拶して玄関を飛び出そうとした瞬間
「夏野!」
と、春に呼び止められる。
「え?」
「試合もだけど、彩名ちゃんのことも頑張って!」
春、かなり心配してくれてたんだな。
眉間に皺寄せて、心配そうな顔してる。
「両方頑張るから!
見ててな♪」
「! うん!」
オレの言葉に安心したのか春が笑顔を取り戻す。
さぁーて。
春に言っちゃったし、有言実行と行きますか!
って思ったんだけど……。
学校着いてから練習中も休憩中も彩名は目も合わせてくんない。
俺の方を見ようともしない。
話しかけようとすると逃げる。
これでどーやって話せっつーんだよ!
っだーっっ!!
ハァ……
どーすっかなぁ…