恋季節~春夏秋冬~
「あのさっ!」
「あの!!」
俺と彩名の声がハモる。
へっ!?
ハモった……?
でも言わなきゃっ
「昨日っ」
「昨日のっ」
またハモった……
「……………」
「……………」
「………ぷっ」
「………クス」
「あははっ!」
「…ぁははっ」
「何今のタイミング!
俺らタイミング超合ってたじゃん!」
「ヘタしたら私達お兄ちゃんより合ってたよっ!」
「確かに!」
話すタイミングと話さない間のタイミングとが揃い、
それがお互いツボにはまってしまい大笑い。
ハタから見れば多分ってか絶対怪しい2人。
この面白い雰囲気を壊すのもどうかなー
って思ったんだけど。
その場しのぎとかはやっぱり後にも影響するしな。
「彩名」
俺が真剣に彩名を呼ぶと彩名が一瞬覚悟を決めたような顔をする。
「あのさ、春のことなんだけど――…」
「…お姉さんなんでしょ?」
「へ? あれ? 知ってた??」
思いもよらない答えに間抜けも間抜け。
すんげー変な声出たぜ?