俺様ヤンキーにこの愛を捧ぐ
やっと立ち上がり、鞄の中にある店の鍵を探していると、店内に誰かが入ってきたのを知らせるライトが光った。

もう、お店はcloseの札をかけているというのに…

杏が振り返ると、目を見開いた。

…そこには、着物姿の雷が、荒い息をしながら、こちらに向かって歩いてきている。

困惑顔で雷を見ていると、目の前まで来た雷が杏を見下ろす。

…その顔は、当然怒っている。

「杏ちゃん」
『…メール…見てくれたんだよね?何も言わずに、了承してって書いてたはずだよ?それなのに、どうして…』

「…納得のいく説明が欲しい」
『それは…』

思わず俯いてしまった杏の視線に合わせるように差し出された開かれた雑誌。

…それは、杏が見たものと同じ物だった。

杏は驚いて、雷を見上げる。

「これが、俺と会わない理由なら、納得しない。俺は気にしないし、こんなものから、杏を守る自信はある。杏の事だ。龍とも、別れるつもりなんだろう?」

雷の言葉に、杏は唇を噛み締めた。
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