美月~大切なあなたへ~
呼び止められて振り替えると、斎藤先生×2の過去を話していたときと同じ、厳しい表情の沖田先生がいた。



「何かをしてやろうなんて思うなよ。
お前は、日明を軽蔑せず、温かく、いつも通りにいればいいんだ。」




沖田先生に、耳元で囁かれる。



「龍心のことも、忘れろとは言わないが、知らない風にしておけ。
この事を知ってる教員は、俺と日明、教務主任とか上の人だけだ。」





……………


そんな大事な事、私に話しちゃっていいのかな?




『…分かりました。』



沖田先生は、ニンっと笑って職員室へ消えた。




「ふぁぁ……。寝過ぎたよぉ~。」


『まさか寝てるとは思わなかったよ…。』


「えへへ。沖田先生に落ち着かせてもらってたら、体の力が抜けたとゆーか…。」


『でも、落ち着いて良かった。』



みっちゃんは、ようやく目が覚めたようで、掃除だるい~って嘆いている。





気にせず黙々と教室の床を拭く私。




ガッ!!



何何何~~!!??



『……みっ……ちゃぁん?』




床を拭く私の上に、思いっ切り倒れ込むように乗ったみっちゃん。



このぉ………痛いし……


まさかまだ落ち着いてないなんてことないよね?



「………美緒ち………。」



か細い声が降って来た。






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