美月~大切なあなたへ~



『沖田先生……?』



屋上の入口にもたれかかっている沖田先生。


さっきとは違う穏やかな微笑みをたたえていた。



「お前が入る授業なら、平居先生に任せた。」



あぁ、教務主任の先生ね。




「こういうの、職権乱用って言うんじゃないか?」


『へ?』



沖田先生は、俺の隣りへ歩いて来た。


「屋上は、許可無く出ちゃイケないだろ?」



あ、そういうこと…。



「………浜田……泣いてたぞ。」



その言葉に、思わず沖田先生を凝視した。


アイツが……?



「お前のせいだぞ。分かってんだろうな?
お前が変に仮面を被ってたから、余計にアイツらには恐ろしく見えちまったんだからな!

教師として、仮面を被ることは良くないと、前々から何度も言っていたハズだ。」



分かってた……

でも、どこかでナメてたのかもしれない。


中学生には気付かれないだろうから、“親しみやすい日明先生”を作っても大丈夫だと……


教師同士の付き合いで…崩されるなんて考えてなかったな……




「お前は、仮面が崩された原因は龍心だと思ってるのか…?」



『え…?』










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