美月~大切なあなたへ~
崩れた原因は龍心じゃなかった。
会った時から感じてた。
日高の存在の大きさ。
「……そっくりだろ?」
『顔は…似てませんけど。』
「ははは。そりゃあなぁ。
でも、空気?ていうか、まとってる物が似てるよな。」
『………』
「……迎えに行かないのか?」
『…………行けません。』
「なぜだ?」
『俺はまだ何も変わってないから…
迎えに行けるようになってないから……』
「はぁ……そうか…。
日明、今日は帰れ。今日は金曜日だから、明日また話そう。生徒がいたらマズいからな。」
『……はい。』
職員室に戻ると、龍心は授業で居なかった。
教務主任の先生に声を掛けると、分かってるという風に、体調不良で早退としてくれた。
沖田先生に挨拶をして、学校を後にした。