美月~大切なあなたへ~
幸せそうにピースをする奈美と瞳。
その横で俺に抱えられて楽しそうに笑う勇翔。
この時の俺は、幸せすぎて、こんな未来、想像もしていなかった。
『日高………』
ふと頭を過ぎった日高の顔。
初めて会った時から感じてた。
アイツは奈美に似ている。
顔とかじゃなくて、空気というか…
性格とかじゃなくて、癖とか仕草とか…
だから俺は無意識に、日高と奈美を重ねていた。
日高が俺に笑顔を向けると、嬉しくなって、
日高といつも一緒にいる浜田とバカやったりした。
日高が寂しい表情をしてると、なぜか自分を責めていた。
日高と奈美に共通する癖があった。
2人とも、照れると髪を耳にかけるんだ。
もう既にかかってても、耳にかける仕草を繰り返す。
日高がその仕草をする度に奈美を思い出して、
まるでここに奈美がいるような感覚になった。