美月~大切なあなたへ~


「日明、昨日のことは、反省できたか?」



てきとーに腰掛けた俺達。


斜め前の沖田先生が仕切るように話す。



『はい。すみませんでした。
正直、生徒達をナメてました。生徒達には、隠してた本当の俺はバレないと思ってました。
…けど、生徒達だって立派な人間で、観察力だってしっかりある。もう遅いかもしれないけど、今からは感情をそれなりに出せるようにしていこうと思います。
…そうすれば、奈美たちを迎えに行けるようになると思います。』



昨日、酒呑みながら考えた結果。


日高は、きっと隠れた俺の素顔を感じていたんだろうな。


なんか…そんな気がする…



「そうか。まだ遅くないと思うぞ。
やっぱりきっかけは日高だったな?」


ニヤリとした沖田先生。


『…ですね。アイツ…奈美に似てて…無意識に“俺”が出てたのかも…。』


しばしの沈黙。


実は沖田先生は奈美の兄の先輩で、奈美とも仲良くしていた。


3人が出て行った時も、話をしようとしてくれた。


結局、話はできなかったらしいが、本当にお世話になった…。


やべ……泣けてきた。





「日明先生。」




今まで黙っていた龍心が口を開いた。







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