美月~大切なあなたへ~
けど、日高は俺の過去を知ってるわけじゃない。
俺を理解しているわけじゃない。
でも、日高はそれを知ったところで、俺に同情したり哀れんだりはしないだろう。
だから安心する。
同情とかとは違う、純粋に人を想う気持ちがある日高は、すごく安心できる場所なんだ。
「お……お前…お前がなんで日高を……?
授業以外で絡みあったか?
てか、生徒……?生徒っていうか……お前……」
うるさい日明先生。
正直うざったいな(笑)。
『立場とか、過去とか、そんなの関係ないんです。
これが“好き”って感情なのかは、僕には分かりません。
ただ…今ハッキリ分かる事は、少なくとも僕は、“日高 美緒”という存在を必要としている。ということです。
そして、“彼女”は、俺にくよくよして、忘れないでくださいなんて、思ってないと思うんです。
前を向いて欲しいと思ってると思うんです。
日高は…きっと支えになってくれると思います。
俺の過去を知らなくても。』
これは俺の本心。
俺が分かる全て。
俺は日明先生をまっすぐに見つめた。
最初はうろたえていた日明先生も、俺をまっすぐに見つめ返してくれた。