美月~大切なあなたへ~






なんだったんだろ?


まぁ、いつもと同じ2人で良かった。


ギクシャクしてたら、絡みずらいし(笑)


もしかしたら仲いい演技するかもって思ってたけど、空気的に違ったみたいで。


…憶測だけど(笑)



「日高。早く座ってくれない?」



『あっ!ス、スイマセン!』



まずい……

またボーッとしてた……


しっかりしなくちゃね!



放送室の中央に、長机があって、私とみっちゃんは日明先生と向かい合うように座った。




「…まず、謝りたい。
…2人共、すまなかった。」


日明先生が頭を下げた。



『……どうして謝るんですか?』


「…俺は教師だ。お前達に勉強以外の事も教える役目がある。
だけど、俺は教師としてしてはいけないことをした。」


『教師も人間です。
感情的になるくらい、あるのが普通じゃないですか?』


「違う。確かに掴み掛かった事もだけど、俺が本当に謝りたいのは…。」




一瞬の沈黙。


一瞬なのに、すごく長く感じた。




なんとなく……


日明先生が言いたい事が分かった。





「俺は……
お前らも、自分も、ずっと騙して誤魔化して生きてきたんだ。」



「騙す……?」



「俺はずっと……家族が別れてからずっと……自分の感情に逆らってきた。
1人になっても、素直になれなくて、学校に来れば皆がいるのに、ずっと独りのような気がして…
卒業すれば、皆俺の側からいなくなる。良い事なのに…教師として教え子に感じる寂しさじゃないものがあって……」



途切れ途切れに話す日明先生。


そんなに頑張って言葉にしなくても、十分伝わって来るよ。


大丈夫だよ。




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