美月~大切なあなたへ~
「はい?」
放送室の奥から、低い、良く通る声が聞こえてきた。
「龍心先生、ウチのクラスの数学係ですよ!
初日から係の仕事をしてくれる優秀な奴等なんで、どんどん!こき使ってくださいね!」
私はそんな日明先生の紹介も耳に入らないくらい、龍心先生に集中していた。
別に変な意味はなく、ただ、龍心先生の人柄を掴もうとしていた。
けど、直感で分かった。
顔はまだ見えてないけど、雰囲気だけで充分だった。
……この人は、優しいけど、何か裏がある。悪い意味ではなく。
「ほ~。優秀な生徒達を持って幸せですね、日明先生。」
やっと顔が見えた。
30代半ばかな?日明先生より若いみたい。
雰囲気とは裏腹に、龍心先生は明るい、優しそうな笑顔を向けてきた。
『日高 美緒です。
よろしくお願いします。』
「あっ、浜田 未来です!
よろしくお願いします!」
「よろしく。数学担当、2年2組担任の斎藤 龍心です。
“斎藤”は2人いるから、“龍心先生”でいいから。
明日の持ち物だっけ?
教科書とノート。ノートはマスの方がいいって、皆に伝えておいて。」
龍心先生は、自然な坊ちゃん髪の頭を掻きながら、分かりやすく、具体的に連絡してくれた。
「あと、毎時間、授業が始まる前に、ここに俺の持ち物あるから、教室に持ってっといて。
よろしく。」
「『はいっ。』」
龍心先生は、日明先生とは違う優しさを持ってるんだ。でも、とても近い優しさ。形は同じだけど、中身が違う、みたいな感じ。
龍心先生の目は、暖かかった。でも、どうしても、あの、なにか裏にあるような雰囲気が気になって仕方がなかった。
でも、私の気のせいかもしれないし、確かめようもないから、気にしないことにしよう!
しかし、私はこの日から、2人の“斎藤先生”の観察を始めた。
本当はこの時から気付いていたのかもしれない。
私が、“斎藤先生”を好きになるって…。
放送室の奥から、低い、良く通る声が聞こえてきた。
「龍心先生、ウチのクラスの数学係ですよ!
初日から係の仕事をしてくれる優秀な奴等なんで、どんどん!こき使ってくださいね!」
私はそんな日明先生の紹介も耳に入らないくらい、龍心先生に集中していた。
別に変な意味はなく、ただ、龍心先生の人柄を掴もうとしていた。
けど、直感で分かった。
顔はまだ見えてないけど、雰囲気だけで充分だった。
……この人は、優しいけど、何か裏がある。悪い意味ではなく。
「ほ~。優秀な生徒達を持って幸せですね、日明先生。」
やっと顔が見えた。
30代半ばかな?日明先生より若いみたい。
雰囲気とは裏腹に、龍心先生は明るい、優しそうな笑顔を向けてきた。
『日高 美緒です。
よろしくお願いします。』
「あっ、浜田 未来です!
よろしくお願いします!」
「よろしく。数学担当、2年2組担任の斎藤 龍心です。
“斎藤”は2人いるから、“龍心先生”でいいから。
明日の持ち物だっけ?
教科書とノート。ノートはマスの方がいいって、皆に伝えておいて。」
龍心先生は、自然な坊ちゃん髪の頭を掻きながら、分かりやすく、具体的に連絡してくれた。
「あと、毎時間、授業が始まる前に、ここに俺の持ち物あるから、教室に持ってっといて。
よろしく。」
「『はいっ。』」
龍心先生は、日明先生とは違う優しさを持ってるんだ。でも、とても近い優しさ。形は同じだけど、中身が違う、みたいな感じ。
龍心先生の目は、暖かかった。でも、どうしても、あの、なにか裏にあるような雰囲気が気になって仕方がなかった。
でも、私の気のせいかもしれないし、確かめようもないから、気にしないことにしよう!
しかし、私はこの日から、2人の“斎藤先生”の観察を始めた。
本当はこの時から気付いていたのかもしれない。
私が、“斎藤先生”を好きになるって…。