美月~大切なあなたへ~
「これ、頑張って読んで♪」


先生はノリノリの笑顔で浜本に聞いた。



「りゅう……しん……?」




「『ぷっ!!』」




私とみっちゃんは思わず吹き出した。



「残念。違うんだなぁ。

てか、お前ら反応すんな!分かっちゃうだろ!」


先生がそう言うと、私達は更に笑ってしまう。


ふと、前を見ると、浜本が私達を睨んでいた。




……特に私を……。



………笑わないようにしよう。




「たつ……しん……?」




「おしい!!

“たつ”まであってる!!


浜本以外で分かった奴いない~?
あと日高と浜田以外で。」




“分かった奴”で手を挙げたかったけど、先生の最後の言葉で、その願望は崩れた。


つまんない。









「いない~?
なら、解答書くぞ~~。」



先生は、また黒板に向いて、書き始めた。







“たつみ”











………きれーな字………。










教室が、“え~~!?”とか、“ヘ~”とか、“あ~”とかで、いっぱいになった。






先生は満足そうな顔をして、私に微笑んだ。



ほんの一瞬だったけど。

嬉しかった。







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