美月~大切なあなたへ~
「てか、なんで日明先生がいるんですか?山本先生は?」



「今日は山本先生は出張!沢木先生もな。
だから空き教員が代理で入るわけ。

指示はでてるから、ちゃんと授業やるぞ!



じゃ、全員クロール一回!
泳げた距離報告しに来い。したら、ちょっと休憩にする。

始め!!」






日明先生は、一通り話すと、プールサイドに、タオルを頭にかけて座った。





「あぁ~!!日明先生それズルーイ!!
私達は直射日光なのに!!」



みっちゃんが日明先生に文句を言った。



「お前らはプール入るんだから平気だろ~?
てか、早く泳げ!言っただろ?楽しくしてやるって。」



「へ?」





あれ、本気だったんだ。


体育の先生が、2人とも出張で、先生が代わりにでるなら、“楽しくしてやる”の意味も分かる。




先生は何かする気だ。







『みっちゃん!早くおよごう!!』


「ほえ?!美緒ち、何か急にヤル気が出ちゃった感じ?」






私は早く、日明先生の“楽しくしてやる”を見たくて仕方がなくなった。






私とみっちゃんは、昔、水泳教室に通っていた。

ので、あっというまに50mを泳ぎ切り、休憩に入って、皆が終わるのを待つことになった。







「お前ら速すぎ。魚みてぇ。

てか、暇になったろ?
ったく、アイツおせぇから、呼びに行くかなぁ?」




日明先生の横で、休憩していた私とみっちゃんは、日明先生の言った“アイツ”が誰なのか、先生の言った事の意味が分からず、キョトンした。






「ちょっと、もう1人のゲストを呼んで来るから、待ってろ。」






日明先生は、それだけ言うと、校舎の方へ姿を消した。






私はその背中をジッと見つめた。











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