美月~大切なあなたへ~
「はい、じゃあ号令!」



チャイムが鳴り、先生の一言で授業が終わる。



『先生、次の授業の持ち物は。』



いつも授業終わりにきく。数学係の仕事。



「今日と同じ。あと、プリントね。」



先生は目を合わせずに答えた。


ま、いつも目合わないけど…



「日高、保健室行くんだろ?」


龍心先生が、急に視線を合わせてきた。



その表情だけでは、先生が何を考えてるのか、全く読み取れない。



『はい…。みっちゃ…いや、浜田さんの様子を見に…。』



私は目を逸してしどろもどろに答えた。



「そ。じゃあ、下まで一緒に行くか。」



そう言って先生は歩き出した。


私もついて行く。



職員室の隣が会議室で、その隣が保健室。


私達の教室は三階で、職員室とかは二階にある。



あっというまの距離だったけど、終始無言だったから、私と先生が一緒に歩く時間は、かなり長く感じた。





職員室に着くと、龍心先生は何も言わずに入っていった。


私はそのままの足で職員室を通り過ぎ、保健室へ向かう。



保健室のドアは曇りガラスが付いているので、中は見えない。



ドアを軽くノックする。






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