ドリンクバー
コーヒー
ん…?朝か。また1日が始まるのか…
とりあえず、トーストしてる間に歯磨きして、目玉焼き作って、新聞取りに行って…
自然に足が動くのに従ってあたしは日課をこなしていく。
チンッ
お、いい焼き色。皿にのせてバターを塗って、あたしの好きなグレープフルーツを注いだコップと共にテーブルに運ぶ。
次に目玉焼きも皿にのせて、ご飯をよそってさっき運んだ物の反対側に運んでいく。
最後にコーヒーと新聞をご飯の近くに運んで、テーブルの上にあるクリームを注ぐ。
そうすると、完璧のタイミングで家主が来る。
「おっ!譲ちゃんわかってんね!このクリームの量、最高」
「そりゃどーも。おはよ」
「おはよう」
あいさつよりコーヒーって社会人が何やってんだか。
「……ふぅ。ごちそうさま。」
そういったおっさんのお皿は綺麗になっていた。
「ごめん、もしかして足りない?」
「いや、ちょうどいいよ」
「そう、ならいいけど。」
あ、zep!だ。今日は青かな。
「いやあ、でもあの譲ちゃんが俺に朝ご飯を作ってくれる日が来るとはなぁ」
「あんなに俺のこと大嫌いだって言って、手を握るもんなら1週間話もしなかったのに」
まあ…そういう時期もあったな。
けど、
「それ、何年前の話?」
「12年くらい前かな」
だよな。それは小学校低学年で卒業したわ。
「おっさん、譲ちゃんのことかわいくてかわいくてたまらないんだよ。あの頃も、今も。」
「なっ!?今はまだしも小学生じゃ犯罪だから!」
ほんとにやめてくれないかな。恥ずかしいし。
「お、今はいいのか。かわいいなぁ…」
「わかったから!!早く仕事行って!」
そう言って玄関まで押していく。
「はいはい。行ってきます」
「行ってらっしゃ…」
言いかけてた言葉を塞いだのは少しコーヒーの味がしたおっさんの唇で。
目の前にはおっさんの顔が広がっていて。
じゃ、行ってくるから。
遠くでそう聞こえた気がして。
バタンと閉まる扉の音でハッとした。と、同時に顔が赤くなった。
「おっさん夕飯抜きだからなぁぁぁぁぁああ!!」
今日も我が家は平和です。