ご褒美は唇にちょうだい
「いえ、節制していますので。ケーキはやめておきます。コーヒーも結構です。時間まで応接を借りますね。台本を読みたいので」


一息で言い切って、さっさと事務所の隣室である応接室へ向かってしまった。

台本なんてあっという間に頭に入れてしまう操だ。わざわざ事務所で読み返すはずもない。
わかりやすい不機嫌に、俺はため息をつきそうになった。

しかし、こんなことで弁解するわけにもいかないのが、俺と操の関係。

とにかく、早く仕事を片付けよう。俺にできるのはそのくらいだった。





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