ご褒美は唇にちょうだい
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数日後、とんでもなく面倒な事件が起こった。
俺は事務所で雑誌の該当ページを開き、腕組みをしている。
雑誌は社長のデスクに乗せられており、社長はデスクの前で頭を抱えている。
「久くん、どうしよう」
「すみません、俺の監督不行き届きです」
俺を責める気は毛頭無さそうな社長は、ただただがっくりとうなだれた。
週刊誌のページにはでかでかと書かれてある。
『鳥飼操♡小鍛冶奏、次期朝ドラカップルのデートを激写!』
白黒の写真にははっきりと操の顔が映っている。
横にいる背の高い男は、間違いなく小鍛冶奏だ。麻布にあるイタリアンから出てきたところを撮られたようだ。
あれほど……あれほど注意したのに!
「あのさ、久くん、操ちゃんはこの小鍛冶って子と付き合ってるのかな」
社長が情けない声で問う。
社長からすれば、天塩にかけた娘を持っていかれたような気分だろう。