ご褒美は唇にちょうだい
「あとは、本人たちが変なことを言わなきゃいいよねぇ」


社長は看板女優の初スキャンダルにショックを隠せない。なにしろ、操はレグルス史上最高の稼ぎ頭で、好感度も高い。それが、若手俳優とクランクイン二ヶ月で恋仲なんて噂、迷惑でしかないのだ。


「操さんには、きちんと事情を聴きます」


「頼むよ、久くん。でも、あまり刺激しないでやってね。ほら、彼女、結構繊細だから」


繊細だろうが、神経質だろうが、今の俺には関係ない。頭の中は操への怒りでいっぱいだった。

呆れ、ではない。
完全に俺は怒っている。

聞き分けの良い子のはずだったのに、こんなバカをやらかすとは。


「では、行ってきます」


これから操の迎えにロケ現場へ向かう予定だ。
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