ご褒美は唇にちょうだい
公開告白はコントみたいな終息を迎えた。

胸をなでおろすというわけにはいかない。俺も小鍛冶のマネージャーも青い顔をしていただろう。

人の口には戸が立てられない。
この出来事はすぐに広まる。
せっかく火消に動いたのに、台無しだ。


「はいはい、恋愛については若いふたりに任せますよー」


監督が笑いながら言い、撮影は通常通り始まった。

操の顔に動揺はなかったし、その後の演技はいつもどおりパーフェクトだった。
それは、小鍛冶奏も同じことで、動揺しているのは俺だけのようだった。

きらきらと輝く似合いの男女の輝きにあてられた。
いつまでも胸の中がざらついていた。





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