ご褒美は唇にちょうだい
5.鎖を巻く



10月がやってきた。
撮影開始からあっという間に半年近くが経ち、朝ドラの放映も始まった。

ある程度視聴率が見込める朝ドラの中でも、今期は好発進だった。
私の演技は受けている。
”美登利”というキャラクターは、芯が強く可愛らしさもあり、早くも視聴者に愛され始めている。

脇を固める俳優陣もベテランが多く、安心して芝居に集中できるのがいい。

小鍛冶くんもいい意味で化けた。
エネルギーの塊だったような彼は、そのコントロールの仕方を学んだようだ。
どこにいても光るけれど、きちんと空気に馴染む芝居も覚えている。

夏の始まりに起こったスキャンダルは、鳥飼操の初スキャンダルとしばらく騒がれたし、いまだに記者に声をかけられることもある。
プライベートは張り付かれているだろうと、事務所も気を使っている。

でも、それだけだった。
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