ご褒美は唇にちょうだい
小鍛冶くんは、相変わらず私を好きだと言うし、食事やデートには誘ってくる。
しかし、私自身が一切それに乗っていない。

結果、小鍛冶くんが私にアプローチする図は、現場の名物となってしまい、誰もが微笑ましく見守るという不思議な構図ができている。

私もまた、小鍛冶くんに多少慣れた。
彼の明け透けで陽気なオーラは一緒にいて楽な部分もある。
演技に対するエネルギーは、ライバルが現れたような喜びも覚える。

役者仲間。
そんな関係の人間は初めてで、少しだけ楽しい。

今月末で彼がクランクアップした後も、きっといい関係でいられるだろう。そんな気がする。

私は1月末までは朝ドラに専念だ。

大丈夫。
非常にうまくやっている。

鳥飼操は大丈夫だ。

< 133 / 190 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop