ご褒美は唇にちょうだい
「操ちゃん、少し顔色悪いよ。このファンデだとくすんで見えるな。メイクも全体直させて」


「いいですけど」


「ちゃんと寝てる？食べてる？」


「今は朝ドラメインなんで、結構休めてますよ」


なんて、答えながら、ちょっと疲れているとは言えないでいる。
最近、むくんだ感じが手足から取れない。もともと頭痛もちだけど、朝起きて痛みを感じる日も増えた。

もしかして、ストレスだったりする？

自問して、すぐにノーストレスであると自己完結する。
仕事は順調、久さんとも順調だ。
ストレスなんてあり得ない。


「すぐ済むからじっとしてて」


二上さんにメイクを直されながら、ぼんやり久さんのことを考えた。

久さんと私の関係はここ数ヶ月一切の変化を見せていない。

小鍛冶くんに告白され久さんと言い争いになり、勢いで告白してしまったのは6月のことだ。

いまだ私たちはたまにキスをするだけの女優とマネージャー。
セフレならぬキスフレンドと言えるかもしれない。
< 135 / 190 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop