ご褒美は唇にちょうだい
「私とあの人の関係はもう完成してるの。女優とマネージャーっていう運命共同体」


小鍛冶くんが困ったように笑う。


「それは、ちょっと大袈裟でしょ。俺とうちのマネージャー、そんな関係になり得ないですよ。それに、両想いの男女なら恋愛にシフトする場合の方が自然じゃないですか？公私ともに支えあった方がうまくいきません？」


「私とあの人には、これがパーフェクトなのよ。彼は女優・鳥飼操を敬愛していて、自分の力で上に押し上げることが天命だと思ってる。恋愛感情が万が一芽生えても、彼はそれを見せない。そして、私はそれに納得してる」


「それじゃ、操さんの恋心はどうなっちゃうんですか？」


小鍛冶くんが憤慨したように言った。
彼は私のために怒ってくれている。それが嬉しかった。


「納得してるって言ってるでしょう？私の望みはあの人と同じ。この世界で私が輝き続けること。恋仲になることじゃない」


それは、この数カ月でゆっくりと出した答えだった。

私は久さんの恋人にはなり得ない。
それなら同じ夢を追いかけていたい。

彼の望みを私が叶えたい。
私にはそれができる。
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