ご褒美は唇にちょうだい
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翌日、午前中には医師の問診を受け、両親と環、久さんとともに診断を聞くこととなった。
両親の参加は不要だと思ったけれど、久さんと環に説得され、已む無く呼ぶこととなった。両親が嫌なのではない。なんとなく、これから起こることに想像がつくだけだ。
薬を点滴されていたせいか、身体はさほど辛くない。
重だるい頭痛があるだけだ。
「脳腫瘍ですか?」
私ではなく、父が聞き返した。
医師はMRIの画像を並べ、指し示す。
「はい。左脳の深部にあります。現時点では、いわゆる悪性腫瘍ではないと見ています。確定ではありませんが」
まず、思ったのは自分の身体にそんな異変が起こっていたということに対する驚きだった。
見えない脳という部分に、見も知らぬ瘤ができているだなんて、誰が想像するだろう。
医師が続ける。
「問題は大きさでして。3.1センチあります」
「それは大きいんですか?」
父が言い、後ろの座席の母が身を乗り出した。