ご褒美は唇にちょうだい
「久さん、口うるさい」
「なんとでも。……携帯、震えてますよ。連絡のようです」
スマホには妹で大学生の環(たまき)からのメッセージが入っていた。
「環よ。週末、買い物に行って実家で食事しようって」
「日曜夕方でしたら、調整が利きます」
「いらない。悪いけど、今は役のこと考えたいから」
私の答えに久さんが嘆息する。といっても、わかりきったような笑顔を含んで。
たぶん、久さんは、私がもっと遊んだ方がいいと思っている。
友人がいないのでプライベートが白紙の私だ。
こまめに誘ってくる妹とくらいは、年相応に楽しいことをすべきだと思っている。
でも、無理。
ジムに通うのも、エステに行くのも、女優という仕事のため。本も映画もそう。
仕事の糧でしかない。
「なんとでも。……携帯、震えてますよ。連絡のようです」
スマホには妹で大学生の環(たまき)からのメッセージが入っていた。
「環よ。週末、買い物に行って実家で食事しようって」
「日曜夕方でしたら、調整が利きます」
「いらない。悪いけど、今は役のこと考えたいから」
私の答えに久さんが嘆息する。といっても、わかりきったような笑顔を含んで。
たぶん、久さんは、私がもっと遊んだ方がいいと思っている。
友人がいないのでプライベートが白紙の私だ。
こまめに誘ってくる妹とくらいは、年相応に楽しいことをすべきだと思っている。
でも、無理。
ジムに通うのも、エステに行くのも、女優という仕事のため。本も映画もそう。
仕事の糧でしかない。