ご褒美は唇にちょうだい
「小鍛冶くんってさ、私の友達だよね」


操が笑って言う。


「私、初めてちゃんと友達ができたなぁ」


「いい友達ですね、少し妬けます」


俺に向かって微笑んだ操は、妙に慈愛に満ちた優しい表情をしていた。
小鍛冶に向けた無邪気な笑顔とはまた違った。


「小鍛冶くんは友達。私の初めての。久さんは大事なひと。私の最初で最後の」


その一言一言、刻むように告げられた告白に、キスをしたくなった。でも、嘔吐の後で、操は嫌がるだろう。
代わりに操の額に唇をつけた。


「特別扱いとは。嬉しいですよ」


「光栄に思ってね」


その晩、操は夜間に頭痛に悩まされることなく朝まで眠ることができた。




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