ご褒美は唇にちょうだい
「社長、お仕事溜めてたんですってね」
「そうなんだよ。うちみたいなところは、税金対策も結構大変で、さっきまで税理士さんに怒られながらやってたよ」
社長は太鼓腹をたたきながら、フロアの一角にある応接セットに私を招く。
私は社長と向かい合う。私の横には当然のように久さんがいる。
「鳥飼さん、お久しぶり。コーヒーでよかったかしら」
空のお盆を持って現れたのは、社員の信川(のぶかわ)さん。
32歳、バツイチの女性。ロングヘアの美人で、きりっとして優しいけれど、私はなんとなくこの人は苦手だったりする。
一応女優なんで、そんな顔はしませんけどね。
「ありがとうございます。信川さん。ブラックでいただきます」
「OK。真木くんは?」
「俺はいらない」
「そう、了解よ」
私が信川さんを気に入らないのは、たぶんこういうところ。
久さんとの間に流れるこの親し気なムード。
これが嫌なんだ。
この人、久さんのことを狙っている。
そんな気がしてならない。
「そうなんだよ。うちみたいなところは、税金対策も結構大変で、さっきまで税理士さんに怒られながらやってたよ」
社長は太鼓腹をたたきながら、フロアの一角にある応接セットに私を招く。
私は社長と向かい合う。私の横には当然のように久さんがいる。
「鳥飼さん、お久しぶり。コーヒーでよかったかしら」
空のお盆を持って現れたのは、社員の信川(のぶかわ)さん。
32歳、バツイチの女性。ロングヘアの美人で、きりっとして優しいけれど、私はなんとなくこの人は苦手だったりする。
一応女優なんで、そんな顔はしませんけどね。
「ありがとうございます。信川さん。ブラックでいただきます」
「OK。真木くんは?」
「俺はいらない」
「そう、了解よ」
私が信川さんを気に入らないのは、たぶんこういうところ。
久さんとの間に流れるこの親し気なムード。
これが嫌なんだ。
この人、久さんのことを狙っている。
そんな気がしてならない。