ご褒美は唇にちょうだい
「やっぱりデパ地下のデリとかの方が良かったんじゃない?」


カートに溢れかえるスナック菓子や、チータラなんかの乾き物、そして缶チューハイなどのラインナップを見おろして、私は言った。
それから、これをカートに入れた奏くんを改めて見ると、まったく悪びれない様子の彼が答える。


「いいんだよ、美味しい本格的な料理は真木さんが作ったり手配してくれてるんだろうから、俺たちの用意するのはジャンクな感じで」


「大学生の家飲みみたいなラインナップ」


「いいじゃん。俺も環ちゃんも大学生だし」


俺はあんまりガッコ行ってないけどね、と付け足し奏くんは笑った。
これ以上彼の言うところのジャンクな感じのものがカートに増えないように、私は会計の列に並ぶことにした。

奏くんと私は、今日パーティーに招かれている。

姉である鳥飼操の快気祝いパーティーだ。





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