ご褒美は唇にちょうだい
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その後は、先々まで決まった私の予定について打ち合わせ、22時過ぎに久さんの運転で帰路につくこととなった。
「さっきの件ですが」
運転しながら久さんが口を開く。
「朝ドラの件です。全作が評判も視聴率も振るわなかったので、今回はタイアップ企画や、CMを増やす方針だそうです」
「うん」
「操さん自身にも雑誌やニュース番組のインタビューが入りますので、そのあたりを気にしてます。あなたは、露出が少ないのも売りでありますからね」
番宣であっても、バラエティには出ない。インタビューなどの取材も厳しく選ぶ。
今どきの女優には珍しい過保護な体制は、鳥飼操のキャラ設定というのがひとつの理由。
ドラマの役じゃないけれど、私の顔が冷たそうに見えるのをいいことにクールでミステリアスなキャラ設定にしたいみたい。