ご褒美は唇にちょうだい
「どうとってくれてもいい。疲れたから、到着するまで眠る」


「操」


不意に呼び捨てにされ、心臓が止まりそうになった。
と、同時に期待で頬が熱くなるのを感じた。

信号で停車した車の中、ゆっくりと久さんの方を見やる。
久さんがわずかに私を見て言った。


「ストレス解消の相手をしてやる。寝ないで待ってろ」


「……はい……久さん」


私は両手を太ももの上で固く握った。


マンションに到着。
普段は駐車場で別れるけれど、こうした時は私の部屋まで久さんがやってくる。

鍵を開け、玄関に入る。
心臓がぶっ壊れそう。そのくらい鼓動がうるさい。

1LDKの間取りのリビングで、たったまま背後から抱きしめられた。


「久さん」


「おまえは静かにしてろ」


久さんの指が私の唇をなぞる。
後ろからなのに、器用に焦らしてくる。
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