ご褒美は唇にちょうだい
2.俺の商品
寝室はベッドサイドの灯りだけ。
淡い橙の光に照らされ、操の白い額が見える。
うつ伏せで寝るのは幼児性の証拠だなんて聞くけれど、操の場合はそれでもいいように思う。
ひたすらに自分を守る時間だからだ。
枕に顔を横向きにくっつけ、うつ伏せで眠る操。
右手がずっと、俺の左手をつかんでいるから、俺はベッドサイドから動けないでいる。
そろそろ眠りが深くなってきた頃合いだ。
手を離して帰ろう。
時刻は深夜1時をまわっていて、俺も流石に疲労を感じた。
しかし、操の手を引き剥がすのに抵抗があるのはいつものこと。
彼女から身じろぎでもして離してくれればいいけれど、そううまくもいかない。
あと、5分だけこうしていようか。
操の顔を眺めて思う。