ご褒美は唇にちょうだい
「なら、黙っていて。無駄なことは喋らないで」


操はキツイ口調で言い、背を向けると事務所を出て行こうとする。

どうやら、進学のことは地雷だったらしい。

それにしても、なんて気位の高いお姫様だ。
幼い頃から特殊な世界でもてはやされて育つと、こうした人間になってしまうのだろうか。


「はい、わかりました。これからよろしくお願いします」


俺は去りゆく背中に向かって声を張り、頭を下げた。


まあ、いい。
お嬢さんのお守程度、雑作もないさ。

その時はそう思った。




< 32 / 190 >

この作品をシェア

pagetop