ご褒美は唇にちょうだい
そこから、俺の仕事は操のマネージメントと決まった。
彼女が高校に通っている間は、営業活動に使い、放課後は高校に迎えに行く。

この時は近々に舞台を控えていて、毎日稽古場に送った。

かつての天才子役は、中学高校の六年間のブランクが大きいようで、なかなか大きな仕事は転がってこない。
本人を連れて売り込みに行っても、手ごたえは薄く、この時の舞台も彼女の役は端役に近いようなものだった。


「本当は高校も行きたくなかったのよ」


送り迎えの車中で、徐々に操は喋るようになっていた。


「もう演技に集中したい。勉強なんか無意味」


言葉は頑なで、態度は拒絶的だった。
操の両親は彼女の大学進学を望み、操はそれを拒否し続けていた。
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