ご褒美は唇にちょうだい
どんな風に思っていたのか知らないけれど、過分な好意は感じる。
これは、先輩として尊敬されてるのかしら。それとも?


「マネージャーさんにはお話ししたんですけど、今度ゴハン行きませんか?」


少し驚いた。おおっと、久さんから聞いてはいたけど、本当に誘ってきた。
久さん相手だし、その時にクギは刺されたんだろうけど。


「スタッフやキャストの皆さんとご一緒なら」


「ふたりきりではダメですか?」


「ダメです。距離の詰め方、わからないほうですか?」


言い過ぎかとも思ったけれど、目の前にあるキラキラ邪気の無い目は、本当になにもわかってきなさそう。はっきり言った方がいい。


「はは、急にグイグイ来すぎってよく言われます」


小鍛冶くんは苦笑いも爽やかだ。

< 72 / 190 >

この作品をシェア

pagetop