ご褒美は唇にちょうだい
「でも、この急に近づく感じって、結構嫌われないんですよね。だから、鳥飼さんもそのうち慣れると思いますよ」


「……言ってる意味が」


「また、日を改めて誘います」


小鍛冶くんは立ち上がると一礼し、スタジオの方へ行ってしまった。

変な子。
変わってる。

業界擦れしてないのに、やっぱり自分が魅力的だとわかっている。

久さんに報告しておこうかな。
いや、きっとドラマの間はよせと言われるだけだ。
わかってるから、言わなくてもいいや。

もし、久さんがそれで妬いてくれるなら、言う価値はあるけれど、そんなことは天地がひっくり返っても有り得ないんだから。



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