ご褒美は唇にちょうだい
環は勝手知ったる様子で、可愛いビジューのついたパンプスを脱ぎ、中に入る。
荷物をローテーブルに置き、キッチンで飲み物の準備を始めた。
「お姉ちゃん、何飲む?」
「水でいい」
「ハーフのワインも買ってきたよ。このくらいなら良いんじゃない?」
「環が飲んで。私、飲むと顔がむくむ方だから」
アルコールは、翌日撮影が無い日に飲むようにしている。付き合いでもない限り。
環はつまらなさそうに、ワインを野菜室にしまい、代わりに常備のガス入りのペリエを出してきた。
「お父さんとお母さん元気?」
「うん、ふたりともお姉ちゃんが忙しいのは知ってる。だから、無理して帰ってこなくていいよ。私が様子見に来るし」
「この前、帰ってこいってメールあったじゃない」
「真木さんがうちに寄ってロールケーキ置いてった。マネージャーが気を使うほど忙しいのねーという判断よ」
両親は私を芸能界に入れたことを後悔している節がある。
幼い頃の習い事程度の気持ちでいたのに、娘は一生を捧げてしまったのだから。
荷物をローテーブルに置き、キッチンで飲み物の準備を始めた。
「お姉ちゃん、何飲む?」
「水でいい」
「ハーフのワインも買ってきたよ。このくらいなら良いんじゃない?」
「環が飲んで。私、飲むと顔がむくむ方だから」
アルコールは、翌日撮影が無い日に飲むようにしている。付き合いでもない限り。
環はつまらなさそうに、ワインを野菜室にしまい、代わりに常備のガス入りのペリエを出してきた。
「お父さんとお母さん元気?」
「うん、ふたりともお姉ちゃんが忙しいのは知ってる。だから、無理して帰ってこなくていいよ。私が様子見に来るし」
「この前、帰ってこいってメールあったじゃない」
「真木さんがうちに寄ってロールケーキ置いてった。マネージャーが気を使うほど忙しいのねーという判断よ」
両親は私を芸能界に入れたことを後悔している節がある。
幼い頃の習い事程度の気持ちでいたのに、娘は一生を捧げてしまったのだから。