春風センチメンタル
うん、またね。心の中で返事をして、携帯をポケットにしまい直す。隣のホームに滑り込んできた車両が起こした風に背中を押されるように、身体を反転させて一歩踏み出す。
返信は帰りの電車の中でゆっくりするとして、折角だから駅ビルの本屋でファッション誌でも買って帰ろう。一人暮らしじゃない分、資金的な余裕はある。華麗に女子大生デビューを飾って、絶対舞子より先にイケてる彼氏を捕まえて報告してみせなくちゃ。
これまでと違う明日からは一体どんな日々になるんだろう。
今はまだ想像も出来ないけれど。次に会う時には楽しい話がたくさん出来るように、新しい世界を切り拓いていこう。
fin.