運命を。
「分かったよ~!みんなぁ、俺、梅田翼(うめだつばさ)でーす」

その言葉を聞いたとき、私は停止した。

「…あ、花南っ」

その時、昔からの理解者の朱音が気づいたように声をかけた。

「…大丈夫?」

『うん…っ』

苦笑いしながら、そう答えると、

『ごめん…っ。トイレ…』

と、私は立ち上がった。


* * *


遠い、昔の記憶が甦る。

…………。

「欠席を取りますっ!」

ザワザワ…。

絶望に追われた私は脱け殻のようになってしまった。

「……さん。……さん。…梅田さん」

そう言われるて、私はピクッと動いた。

みんなが私を見る。

私は下を見たまま返事をしなかった。

「梅田さん?梅田花南ちゃん?」

先生は私を何度も呼んだが、私は返事を一向にしない。

「花南ちゃん?どーしたの?」

前の席の朱音が心配そうに私を見る。

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