運命を。
「花南ちゃん…っ」

ガタンッ…!

私は勢いよく立ち上がった。

その反動で椅子が転んだ。

「梅…」

『…トイレ』

そう言った途端、私は教室から飛び出した。

「…う、梅田さんっ?!」

教室からそんな声が聞こえたが、そんなの関係ない。

私は全力疾走した。

着いた場所は屋上の前の扉。

私はそこにペタンと座り込んだ。

無気力…。

そして、そこで私は声をあげて泣いた。

泣き叫んだ。

泣くと、自分の中から要らない物が消えていくようだ…。

私は、ずっと泣き続けた…。

遠い昔の記憶。

思い出したくなんてない。

すべて、抹消させたい…!

要らない。

思い出すと、あいつへの怒りも込み上げるから。

…“あいつ”。

ね…?

私らを残して消えた、お父さん。

だから、何であえて“梅田”かな?

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