運命を。
「分かる?言ってる意味」

やめて。

私は、目を瞑った。

何も見たくない。

「言っとくけど…、俺、初めてだったから」

瞑った目をゆっくり開けた。

『え、何が?』

すると、彼は人差し指を私の唇に当てた。

「キス」

そう笑い、扉を開けた。

(…あ。もう部屋だったんだ…)

…って!

待って!

“初めて”?

初めてを私とあんなに軽く!?

何で私としたの?

…何で。

「おぃ!翼おせーぞッ!」

部屋に入ると、私らに向かってくる声たち。

「…って、花南ちゃんも」

「お前ら…もしや密会か……」

なんて口々に言うけど、私はシカト。

聞くだけ無駄。

こんな質問しか出来ない男子なんて低レベル。

「うん、密会してたよ」

私がソファーに座ろうとすると、あいつはのんきにそう言った。

『…はっ?あんた…どーゆう意味よ』

「だから、翼だって。呼んでよ…。呼んでほしーの」

『…っ』

うろたえる。

何で、そんなにこだわるの?

やめてよ…。

「待てよ~。密会ってどゆ意味?」

男子がそう言う中、この男は笑いながら

「キスした」

と言った。

(はぁ?!)

「「はぁぁ?!」」

みんなは叫んだ。
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