運命を。
説得力のある言葉で彼はそう言った。

「ねっ、翼って呼んで?」

幼い笑顔。

みんなが私らに注目してる中、私は彼に、

『つ、翼…』

と言った。

すると、みんなが大きな拍手をした。

『……』

みんな、笑ってる。

何故か、私はみんなを見て口がゆるんだ。

私も、ゆっくり微笑んだ。


…ねぇ、翼…。

あの時、翼に逢ってなかったら、私はどうしてただろうね…。

あの時、『私の人生、捨てたモノじゃないなぁ』って思ったの。

翼、私に“愛”を教えてくれてありがとう。

翼がいなかったら、私は愛を知らない腐った女だっただろうね…。

だから、感謝してるよ…。

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