『狂っていたのは、僕だった』〜くる僕〜








部屋を出てから20分が経った






きっと2人とも、もう意識はない





《コンコンッ》














返事はなかった










《ガチャッ》








兄さんも、美咲さんも




座りながら眠っていた











3時間は目は覚めない





まずは美咲さんから







この家には防音室、地下室にあたる部屋がある




そこまで運ぶ








力が入っていない人間を運ぶのは


時間を要する






約一時間




起こすことなく運ぶことに時間をかけた











部屋に戻り、兄さんの様子を見る








そして手を固く結び




目隠しをした












ほんとに





やっと







2人きりなんだよ















「愛してる」
















「愛してるんだよ」








僕は兄さんの口にキスをした








もう少し寝ててね、







また迎えに来るから














再び部屋を出た




僕には自分の中に生まれる












抑えきれない高鳴りが聞こえた






今までになく早足な





狂気の軽快な足音だった






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