『狂っていたのは、僕だった』〜くる僕〜






兄さんは少し苦しそうだった











足が震え





体が火照って







とても辛そうで





だけど僕にはそれが愛らしく見えた








「辛い…?」







はぁ、と








息だけがもれる







何も答えてはくれない














「僕のこと好き…?」









また返事がない








僕の中に





兄さんに対する怒りはなかった










兄さんが思い通りに動かなくても







いつか思いのままに操れると思うと







それもまた愛おしかったから








「僕は、ずっと兄さんだけを見てきた」









「これからも」









服を脱がし






僕も服を脱いだ









「ほら、触って?」










兄さんの指が僕のモノに触れる






嫌がる兄さんを僕は許さない





離さない






『気持ち悪…い…やめろ…ってば!』







そんな言葉で逃げれると思ってる?






甘いなぁ




弱いなぁ









ほんとは兄さんも楽しんでる?






ほんとは嬉しい?









「本気でやめてほしいなら、もっと抵抗したら?」











何も言えなくなった様子で黙り込んでいる











何故だろう











その言葉につまずいていた









少したってから



『離せよ…!!』






と、これでもかという声で言った





薬が効いて、体も言う事を聞かないんだろう






兄さんの口に僕は近づけた







「ほら、口開けて?噛んだりしちゃダメだからね?」









まだ目を隠したままの兄さんは







この光景が見えない







汚れた姿の僕達は







どんな色をしているだろうか










鮮やかな赤色か






重く濁る黒色か









それはきっと違う








僕には光り輝く白い色に見えたんだ










『んぐっ、、!!んん…悠っ…悠…ん』









喉の奥まで




深く突いた





猶予は許されない









僕でいっぱいに





めちゃくちゃに満たしてやりたかった








「気持ちいい、凄く」












兄さんは諦めたのか







素直にされるがままだった









いや、僕から逃れる方法を考えていたのかもしれない







けれど、どれもこれも









あっけないものだよ







この愛に勝る抗いなど













存在しないだろう








「んっ…は…兄さんの口に、全部出してあげるね」





















兄さんを離さない






そんなふうに僕の体液は






兄さんにどっぷりと絡み付いた
















体の力が抜けた兄さんの目から










ひと滴 また堕ちていった






助けて と言っているようだった




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