君に向かって、僕は叫ぶ。
1:目覚めたその先に。
痛い。



苦しい。



熱い。



寒い。



何で、僕はこんな所で寝転がっているんだろう。



どうしてだか、頭とお腹あたりが熱い.....。



仰向けで寝ている僕の目の前には、薄暗い雲が広がっている。


ポタ。ポタ。


雨.....?


なんで雨が....?


確か僕は.....。


「......っぁ!!!!」

空から降る雫が頬を叩いた瞬間、僕は思い出した。





---キキィィィィィィーーーー.....!!!!!!

耳をえぐるようなブレーキの音。

---ズドォォォォッガシャァァン.....!!!!!!

物凄い衝撃や、何かがぶつかる音。


そして....。

「いやぁぁーー!!痛いよ!!お母ぁさぁん!!!」


「大丈夫よ....母さんが一緒だよ...。」


「逃げるんだっ!!!!!湊(みなと)っ!!!」


泣き叫ぶ妹の声、変わらない声であやす母さん、僕に向かって叫ぶ父さんの顔や声。


「....あ、うぁ....あ...あぁ....!!!!!!」


叫びたくても、体を起こしたくても、動かない。

顔をお腹に向けると、真っ赤な液体がドクドク流れていた。


僕は、そのまま首だけを無理やり動かして、視線を向ける。


....そこには炎が上がっていた。


自慢の父さんの車は、大きなトラックに踏みつぶされ、ぐしゃぐしゃで形をなしていなかった。


そして、散らばった残骸の下には、僕の家族がいた。

「うぁ....ぁあああ....ああ......っ!!!!!!!!!」

声にならない声をあげたとき、僕の家族は炎に包まれていた。








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