君に向かって、僕は叫ぶ。
7:心からの笑顔。
ずっとずっと、優雨は泣いていた。
僕の服の裾を握りしめるその白い手が、まるで"行かないで"と訴えているように感じた。
だから僕は、"そばにいるよ"と伝わるように、優雨を抱き締める腕に力を込めた。
それから優雨は、深く息を吸い込んで言った。
「ありがとう。もう、大丈夫。」
「うん。」
僕はそっと優雨を放して、隣に座りなおした。
隣の優雨の横顔を見ると、その表情は初めて会った時と一緒で、
空を見上げて泣いていた。
優雨は、何を思って空を見ているんだろう。
どんなことを、抱えているんだろう。
僕は知りたいと思った。
優雨の喜びも、悲しみも、悩みも、全部。
だから。
「ねぇ、優雨。聞いてもいい?」
「うん。」
「優雨は、どんな時空を見てるの?」
そう聞いた僕に、優雨はやっぱり笑う。
寂しそうに、儚げに、笑う。
「そうだなぁ....笑えなくなりそうな時...かなぁ。」
「笑えなく、なりそうな時...?」
聞き返すと、優雨はうなづいてから言った。
「うん。私ね....、いつ死ぬか、分からないんだ。」
その優雨の言葉に、僕は驚くことしかできなかった。