君に向かって、僕は叫ぶ。
病院に着いて、受付で聞いた病室に向かった。
昼間の病院の廊下は静かで、僕らの足音だけが響く。
カツカツ。
コツコツ。
廊下のつきあたりを右に曲がると、病室がたくさん並んでいた。
そのうちの一つ、204号室。
ドアのそばのネームプレートには、"宮下優雨様"ときちんと優雨の名前が書いてあった。
それは、ここにいるとあらわしているわけで。
患者だと、改めて思わされる。
僕は深呼吸してノックをしようと、拳をあてようとしたとき。
「そんなわけないっ!!!!」
優雨の悲しみに満ちた叫び声が、部屋の中から聞こえてきた。
僕と美咲は驚いて思わず固まる。
優雨の叫び声は止まない。
「なんでそんなこと言うの!?
まだ美咲とお買い物行ってない!湊と美咲とクリスマスパーティーもしてない!!
なのに!なんでぇっ!?
"私の足はもう動かない"なんて言うの!?」
叫ぶ優雨は、泣いていた。
声を震わしながら、叫んでいた。
「ああああああああっ....!!!」
「っ....ぅっ...!!!」
優雨の声を聴きながら、僕は、美咲は、声を押し殺して、泣いた。