君に向かって、僕は叫ぶ。
「.....っあああああああ!!?」

「だ、大丈夫!?湊!!!」

自分の叫び声に驚いて、目を覚ます。

「...はぁ..はぁ...!」

息を整えながら、周りを見渡す。

ここは、変わりない病院。

真っ白な場所、消毒液の匂い。

こっちが現実なんだと、そう思った。

「.........」

もう涙も出なくなった。

何も、感じなくなった。

なのに、まだ僕は生きていた。

「湊....?」

「美咲(みさき)....?」

そこには、幼馴染みの神田(かんだ)美咲が立っていた。

「大丈夫....?」

心配した顔で、そういう美咲は昔と変わらない。

優しくて、いつも僕を支えてくれる。

でも、今はその美咲の優しさが、とてつもなく辛かった。

だから。

「何で、ここにいるの?」

「....それは、湊が心配だから..。」

「美咲。僕は大丈夫だよ。」

「.....でも!」

「....美咲、頼むからさ...!!」

「湊!!」

「....出てって!!......僕を....一人にして....。」

僕は、美咲と距離を置きたかった。

「.....分かった。ごめん...!」

自分を心配してくれる女の子を泣かしてまで、僕は自分の心を守った。


「最低だ....。僕が死ねばよかったのにっ...!!」


膝を抱えて、そう言葉をこぼしたとき。

夢の中で聞いたあの声は、自分の声だったと気付いた。




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