君色に染まる恋
*
「名前からして紅!…って言いたいとこだけど、紅って感じじゃないよね〜」
「どちらかと言えば黒じゃね?」
「いやいや黒って! 悪魔かよ!」
「あははは! 悪魔とか言い過ぎ〜!」
―――なんとでも言えばいい。
私には関係ない。
だけど関係ある。
だって、
「どうして"明原 紅(あきはら べに)"なんて名前になっちゃったんだろうね〜!」
―――……私の名前なんだから…。
「……そうですね…」
それだけ言い残し私は教室を後にする。
名前のことでああだこうだ言われるのはいつものこと。
高校生になった今でも変わらないのは自分自身にも問題があるなんて百も承知。
だけど私は今の私が嫌いなわけじゃない。だから変わらないだけ。
……なんて、こんなの言い訳に過ぎないんだろうけど…。
もう一度深いため息をつき、開きもしない屋上への階段を上がる。
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