君色に染まる恋
「艶やかって言うのは美しいって意味」
「へぇー……!」
「お父さんもお母さんも、紅に心から綺麗な女性になってほしいと思ってるのよ」
そう言ったお母さんに私はなんて返事したんだっけ…。
全然覚えてないや…。
1人ボーッとしながら昔のことを思い出していた時。
「明原さん」
「……?」
不意に名前を呼ばれ振り向くと、そこにはクラスのボス的存在がいた。
名前は確か……あれ、なんだっけ…?
「ちょっと話があるんだけど」
そう言いながら私に着いてくるよう促す彼女の後ろを静かに歩いた。
初めて話すけど、考えられることは一つ。
「明くんに近付かないでくれる?」
――……やっぱり。
ここ最近になって私が明と話すようになり、何かと女子の視線を感じるようになった。